No.11|「もう一度」が大きな力になる。「スポーツで人生に楽しみを」

ご入居者にとっての運動とは、「筋力や体力の低下を防ぐため」「リフレッシュのため」など、主に健康のために行われるものとイメージされるかもしれません。もちろんそれは大切ですが、運動がご入居者の大きな活力となることがあります。若いころにスポーツに励んだ方であれば、運動は身体的な健康以上の効果をもたらしてくれるでしょう。

今回は、クラーチ・ファミリア西新宿の取り組み、「スポーツで人生に楽しみを」についてご紹介します。

1.スタッフの経験が、ご入居者の生活の柱に

クラーチ・ファミリア西新宿では、2025年7月よりスポーツを活かしたレクリエーションを行っています。ご入居者とのつながりやラポール(信頼関係)を守ることはもちろん、ご入居者の健康や毎日をより良くするという目的があります。

クラーチ・ファミリア西新宿のスタッフの多くはスポーツ経験者。バレーボールやサッカー、エアロビクス、バスケットボール、野球など、スポーツの引き出しも豊富です。その経験からゲーム形式でスポーツのレクリエーションを計画し、「普段味わえないような時間」を提供しようと考えました。

レクリエーションに参加すると適度な疲労感が生まれ、筋力の低下防止はもちろんのこと、良質な睡眠にも役立てられます。また、ご入居者の生活に活力と彩りが生まれ、好循環が続くと考えたスタッフたちは、自身のスポーツの経験をご入居者の生活に取り入れることにしました。

2.I様から広がる希望の輪

今回の主人公はI様。クラーチ・ファミリア西新宿に入居する前には入院をしており、お食事もほとんど取れない状態で、末梢点滴で栄養を確保していました。さらに入居当時にはふらつきが見られたことから、立ち上がりや歩行時には傍らでの見守りも必要な状態でした。

そんなI様は、かつては野球やテニスに打ち込むスポーツマン。特に野球の話になると少年のように目を輝かせるほど、強い「野球愛」を持っておられます。その姿を日ごろから見守るスタッフは、「もう一度、I様と野球を引き合わせられないだろうか?」と考えていました。

そこで力になってくれたのが、元野球少年のスタッフです。I様のご家族とお話をする中で、「またいつかキャッチボールをしたい」との希望を引き出してくれました。

【①野球がI様の生活に光を宿らせた】
とは言え、I様は心臓に様々な疾患を抱えていることもあり、再び野球をすることに不安がないわけではありませんでした。それでもご家族からの理解も得られ、ホーム前でのキャッチボールが実現。プレイ前には必ず看護師がバイタル測定をし、問題がなければ実施する流れになりました。

スタッフ自前のグローブをつけ、キラキラとした笑顔でキャッチボールをされるI様。その姿は野球少年そのもので、「またやりたい」と目を輝かせるほどでした。

【②他のご入居者にとっての「光」にも】
I様がキャッチボールに励む姿は元気いっぱいで、スポーツマンそのもの。「身体が元気になったらまた野球をしたい」というご希望通り、身体も心にも力がみなぎっていました。

I様の姿は、他のご入居者にも光を与えてくれています。嬉しそうにボールを投げ、確かな動きでボールを捕るI様を、ご入居者たちも楽しそうに眺めています。スタッフにとってもワクワクする出来事となり、「他のご入居者にも、I様のように楽しい、嬉しいと思える瞬間をたくさん提供したい」「スタッフもワクワクし、働く喜びや楽しさを見出すことの出来るようなホームを作りたい」という気持ちが芽生えました。

結果、クラーチ・ファミリア西新宿では「スポーツで人生に楽しみを」の取り組みが始まり、新しいアイディアや行動が次々と生まれています。

3.次の目標に向け、ホーム一同で努力を続ける

キャッチボールをきっかけに、I様には元気が戻ってきています。お食事も問題なく召し上がられ、足腰もしっかりしてきました。歩行器を使用せずにご家族とお散歩に出かけられる様子を見ると、スポーツの力がいかに大きいかを実感させられます。

しかし、今回の取り組みにはまだまだ続きがあるのです。
「ご入居者の好きを実現する」ため、次はI様と神宮球場に足を運び、東京六大学野球秋季リーグ戦の早慶戦を観戦するという目標があります。実際に、I様も「大学時代は神宮球場でよく野球を観た。また早慶戦を観に行って、あの応援席の歓声と雰囲気を味わってみたい」と意欲的です。ご家族も「父は野球が大好きで、話をすると止まらない」と笑顔で話されるほど、野球が好きな様子が伝わってきていました。

そこで、スタッフが神宮球場行きをご提案すると、「可能であればぜひお願いしたいです」と承諾をいただきました。
色々な課題はあるものの、I様に憧れの神宮球場にもう一度足を運んでいただき、試合の雰囲気を味わっていただきたい。思いきり楽しい時間を提供するためにも、足の筋肉のトレーニングをはじめ、観戦に向けた体力づくりを始めています。

キャッチボールをきっかけに、I様はさらなる楽しみが得られました。
クラーチ・ファミリア西新宿ではこの経験を糧に、以下の挑戦と努力を続けていきます。

・ご入居者の満足度向上を計り、生活意欲を向上させる
・スタッフとご入居者のラポールを構築し、その先にケアサービスにもより良い影響をもたらす
・ご入居者の今後10年、10年以降の時間も、より輝かしいものにする

またスタッフ自身も、経験したスポーツをご入居者に還元できるような環境作りをし、「クラーチを選んで良かった」と思えるホームにしたいと意志を固めています。



ライター:加藤  小百合