No.12|手を取り合って楽しさを育む ~あつまれ!船橋の庭!~

「手間や時間はかかるけれど、育てている間や収穫した瞬間に幸せを感じる」。
家庭菜園に対してそのようなイメージを抱く方は多く、若い方はもちろんのこと、高齢者にとってもかけがえのない生きがいとなります。それを強く実感したのが、今回ご紹介する、クラーチ・ファミリア船橋での取り組みです。

1.ホーム内でスタートした、「地産地消」

クラーチ・ファミリア船橋の敷地内の庭には家庭菜園があります。

・⾃分たちで耕して、植えて、収穫して、調理して、⾷べる楽しみ
・スタッフやご入居者だけでなく、ご家族も共に楽しむ場所づくり

を目標に、ご入居者やスタッフが共同して家庭菜園を始めました。きっかけは、ご入居者との何気ない会話です。
「⾃分たちで育てたものを、みんなで⾷べることができたら楽しいよね!」の一言から、想像以上の笑顔の輪が広がりました。

【1.誰もが参加できる環境作りにも尽力】
家庭菜園の取り組みでは、ご入居者が自ら畑を耕し、苗を植え、種をまく作業に参加されています。ご自分でお世話をした作物がぐんぐんと育っていく様子は、毎日の楽しみになるのだそう。

とは言え、体調上の問題で、毎日畑に出ることが大変な時も。
そんな日には、「出張!船橋の庭!」の出番です。室内で育てられる野菜やお花をご用意し、ホーム内で水やりをしていただけるようにしました。残念ながらトマトは病気で枯れてしまいましたが、ひまわりは無事に咲き、ご入居者からも喜びの声があがりました。

【2.ご家族や海外出身スタッフも参加し、心強くサポート】
畑づくりに励むご入居者の姿にご家族も心を打たれ、協力してくださることも。
とあるご入居者の息子様は農業に詳しく、「農業アドバイザー」として畑の様子を見に来てくださいました。近所のお子様をお招きし、一緒に収穫をすることもあり、畑が引き寄せる笑顔の輪には驚かされるばかりです。

また、海外出身スタッフも参加しています。農業担当のスタッフは「故郷のことを思い出しながら取り組めて楽しいです」と笑顔を見せ、調理レシピ担当のスタッフは「兄が⽇本で料理⼈をしているので、クラーチに呼んでインドネシア料理を本場の味でつくる予定です」と意気込むなど、母国の特色を活かしたサポートに楽しみが増すばかりです。

2.「船橋の庭」プロデュースの、収穫期

家庭菜園の醍醐味には、自ら作物の成長を見られることに加え、季節ごとに違った楽しみが味わえることもあります。春夏秋冬、収穫できる作物や成長の姿が、クラーチ・ファミリア船橋を鮮やかに彩ってくれます。

【1.季節ごとに楽しむ、畑からの贈り物】
最初に収穫できた作物は、昨年11月に植えた玉ねぎ。最初こそ少⼈数のスタッフで始めたものの、徐々に参加されるご入居者も増えていきました。収穫の頃にはご家族も参加され、にぎやかな雰囲気で迎えることができました。玉ねぎはスープにしておやつ時にお配りしたところ、おかわりを求められるほどの好評でした。

5月には、畑の準備をさらに本格化。園芸や農業が得意なご入居者のアドバイスのもと、ホームセンターへ買い出しに⾏きました。すぐに畑の土壌を整え、トマトやきゅうりの苗植えやかぼちゃの種まきをしました。

6月は、スタッフ同⾏で出張芋ほりへ。海外出身スタッフによるサポートのもと、インドネシア⾵コロッケ「プルクデル クンタン」を作り、「クセがなくて⾷べやすい!」「ほくほくで美味しい!」とご入居者から好評でした。

7月には夏の定番、流しそうめんを行いました。庭でとれた⼤葉と、昨年ホームで漬けた梅⼲しを薬味に、そうめんを存分に味わいました。

そのほかにも、ゴーヤチップや野菜スティック、ラタトゥイユにいちごのコンポート、大根の収穫、自家製桜チップで燻製など、畑からの贈り物は尽きることがありません。
また唐辛子の収穫も始め、外部から来る訪問マッサージのスタッフにプレゼントすることも。虫よけや料理に役立てていただいているそうです。また唐辛子を季語に、「唐辛子 歓喜の色に 手の平に」と、素敵な俳句を詠まれたご入居者もいらっしゃいます。

3.ご入居者の変化を喜び、次の目標に

畑づくりから収穫、調理までをご入居者と一緒に続けていると、見えてくるものがあります。

例えば、T様は、料理が⼤好きでリーダーシップがあり、包丁を担当。O様は、計量は1gも妥協しないほどの、きっちりした性格。M様は、計量が得意で、目分量で正解を出してしまいます(数字に厳しいO様も笑顔で受け入れるほどの腕前です)。
N様は、最初は料理が得意ではありませんでしたが、できることを増やし、率先して取り組んでくださるようになりました。繊細で居室にこもりがちなS様は、トマトの収穫に顔を出されるように。スタッフの姿に「とても頑張っているから、何かしてあげたい」と考えているそうです。

このように、料理イベントを繰り返すことで、ご入居者の性格をより深く知ることができました。さらにはご入居者も役割を持って参加できるようになり、主体性を持って取り組めるように変わってきています。

【1.来年、再来年と続く場所に】
家庭菜園の取り組みを通じ、

・自分達で育て、料理し、⾷べる達成感
・ご家族も参加しやすい⾝近な場所づくり
・海外出身スタッフを加えたグローバルな交流

と、当初思っていた以上の効果や楽しみ、好循環が生まれました。

好循環はまだまだ続き、「来年は何を植えようか」「今度はあれを作りたい!」などの声も聞こえ始めています。

来年や再来年、そして「ワクワクする特別な10年」を EX TENを実現すべく、船橋の庭は成⻑しつづけていきます。


ライター:加藤 小百合