No.10|お互いが「光」に~クラーチ・ファミリア小竹向原と子どもたちとの交流

クラーチ・ファミリア小竹向原では、ご入居者が穏やかで健やかな日々を過ごせるよう、一人ひとりに寄り添った対応を心がけています。趣味や楽しみ、安全を考慮しての外出など、これまでにも様々な取り組みをしてきた中で、新たな取り組みが生まれました。

保育園に通う子どもたちと、ホームで生活するご入居者。お互いがどのように関わり合い、「光」と「幸せ」を生み出したのかをご紹介します。

1.きっかけは子どもたちのお散歩

クラーチ・ファミリア小竹向原は、他のホームと同様に、穏やかな時間が流れる高齢者向け住宅です。

その穏やかな日常にさらなる明るさをもたらしてくれるのが、ホームから徒歩1分ほどの場所にある保育園の子どもたちです。保育園では毎日お散歩に出かける時間があり、小竹向原のホーム近くもよく通っていました。

子どもたちが通るたびに聞こえる明るく元気な声。何度か顔を合わせるうちに、子どもたちもご入居者に挨拶をしてくれるようになりました。そんな子どもたちの様子は、「可愛いね」 「元気をもらえるよ」と、ご入居者の話題にも上るようになっていきます。子どもたちはご入居者にとって、「活力剤」のようなものになっているのかもしれません。



【①2024年から始まった交流 】
子どもたちのお散歩の様子と元気な挨拶は、徐々にご入居者にとっての日常生活の一部となっていきました。

そんな中、その保育園に自身の子どもを通わせているスタッフがいることがわかりました。このご縁を活かさない手はないと、2024年からクラーチ・ファミリア小竹向原と保育園の子どもたちとの交流が始まりました。

2.イベントを通じて深まる交流

当初はお散歩中の挨拶にとどまっていた交流も、互いに会うことが目的となり、着々と変化を遂げていきます。

最初の交流は、2024年9月17日に開催された敬老の日のお祝いです。いつもはご入居者とスタッフ、時にご家族とお祝いをしていましたが、そこに保育園の子どもたちが加わりました。子どもたちは手作りの飾りを持ってホームを訪問してくれ、心を込めた「おめでとう」の言葉にご入居者の喜びもさらに大きなものとなりました。この日、子どもたちからプレゼントされた飾り物は、ご入居者にとってかけがえのない宝物となったようで、それぞれのお部屋にも飾られています。

交流はなおも続きます。次は2024年12月23日に行われた、クラーチ・ファミリア小竹向原と保育園合同のクリスマス会。

この日はお互いにプレゼントを交換しました。子どもたちはスタッフの演奏に合わせて元気いっぱいの歌声を披露し、ホームからはおやつをプレゼントするというクリスマスらしい素敵なイベントになりました。ご入居者も子どもたちと同じおやつを楽しみ、家族団らんのような笑顔あふれるひとときを過ごしました。


また別の機会には、保育園からご入居者宛てに小さな贈り物が届いたこともありました。

散歩中のご入居者が保育園にあるさくらんぼの木を眺めていました。すると、その様子に気づいた保育園の先生が近づき、小竹向原のご入居者であるとわかると木に成っている観賞用のさくらんぼの実を譲ってくれました。このオシャレなプレゼントは、数日間ホームのカフェに飾られ、ご入居者たちを楽しませました。



【①ご入居者と子どもたちで共同作業も 】
2025年5月、クラーチ・ファミリア小竹向原では子どもたちとの一緒に折り紙大会を開催しました。子どもの日にちなみ、実際に被れる大きさの兜飾りづくりに挑戦しました。

ホームには折り紙が得意で日常的に作品作りをされるご入居者もいらっしゃいますが、なかには昔取った杵柄で子どもたちに折り方を教えようとする方もいらっしゃるほどでした。

ところが、張り切ったものの手順を忘れてしまい、むしろご入居者が子どもたちに教えてもらうことも。ちょっとしたハプニングこそありましたが、皆の笑いを誘い、かえって場が和み、忘れられないひと時となりました。おじいちゃん、おばあちゃんどころか、曾祖父母ほどに歳が離れたご入居者に物事を教えてあげるという体験は、子どもたちにとって自立心を高める良い機会となり、誇らしげな表情をしていました。

3.世代を超えた温かいつながりをこれからも

交流を通じて伝わる子どもたちの無邪気な笑顔と元気な声は、ご入居者にとっても、スタッフにとっても、想像以上の感情を呼び起こしています。「育児をしていた時期が懐かしい」や「孫の成長と、保育園の子の成長が重なって見える」など、ご入居者からも様々な声が寄せられました。

現在、クラーチ・ファミリア小竹向原の最高齢のご入居者はターミナル期(*病気や老衰が進行し、治療による回復が見込めない状態)を迎えていますが、限られた時間の中でも子どもたちとの交流を楽しんでいます。

声を出す機会が減っている中、子どもたちが来るといつもよりもはっきりとした声で話し、笑顔でお世話をするほどです。こうして見ると、子どもたちがいかにご入居者にとっての「光」となってくれているかがよくわかります。

【①子どもたちにとっても大きな学びに 】
保育園側も、この交流に大きな意義を感じてくれているそうです。子どもたちにとってご家族や先生以外の大人との触れ合いは、精神的な成長を促す貴重な機会。
特に、落ち着きのあるご入居者との交流は、子どもたちに安心感を与え、心の安定につながっているようです。また、「お散歩のきっかけや歌の発表の場としても活用できる」と、感謝の声をいただきました。


今後も、3か月に1回程度のペースでクラーチ・ファミリア小竹向原と子どもたちとの交流を続ける予定です。敬老の日だけでなく、納涼祭や歌の発表会など、楽しみなイベントがすでに候補にあがっています。

クラーチ・ファミリア小竹向原と子どもたちの交流は、世代を超えた温かいつながりを生み出し、双方にとってかけがえのないものとなっています。
この交流は、これからも末永く続いていくことでしょう。



ライター:加藤  小百合