No.9|100歳を目前に、写真に生きる。「映し続ける」思いを胸に
100歳を迎えても、大好きな写真撮影とともにありたい。今回は、クラーチ・ファミリア光が丘公園に入居されている方のストーリーをご紹介します。
1.カメラとともに歩んできた人生
今回のストーリーの主人公は、クラーチ・ファミリア光が丘公園に入居されているO様。御年99歳で、間もなく100歳を迎えるとても素敵な方です。自立心が強く、スタッフによる生活動作のサポートもほとんど必要とされず、基本的にご自身の力で生活されています。
そんなO様の趣味は小学生のころに始めた写真撮影。昔は二眼レフカメラを使うほどの力の入れぶりで、Rollei(ローライ)のカメラが特に好み。旅行先でも風景写真や人物写真を撮り、O様の生活には常にカメラがありました。パソコンは初期時代から親しむほど得意で、老人ホームでパソコン教室の講師を務めていました。その腕前は写真にも活かされ、撮った写真を動画に編集する技術も持ち合わせていました。
【①ホームでも「頼られる」存在】
O様の趣味は、クラーチ・ファミリア光が丘公園でも重宝されています。誕生日会などのイベントがあれば積極的にカメラを手に取って写真やGIF動画を制作し、入居される方々に共有してくださるのです。この活動は1年以上も続いており、その活躍ぶりはイベントの盛り上がりには欠かせないものとなっています。
ホームのスタッフも、イベント時にO様が後方から撮影されることを考慮し、「動線に邪魔なものがないか」「立ち止まるスペースがあるか」などを確認し、安全をサポート。これによりO様ご自身もしっかりと動き、好きな画角を見つけられるので、スムーズにイベントを進められています。イベント後も撮った写真を編集し、データで事務所スタッフに提供してくださります。

2.スタッフからも愛されていた、素敵な夫婦仲
実はO様は、奥様と一緒にクラーチ・ファミリア光が丘公園に入居されていました。仕事先で出会って結婚した奥様との仲はとても良く、O様ご自身も「優しい人。自分が仕事で怪我をして入院中、お見舞いに来てくれた」と振り返られています。昨年は結婚70周年を迎え、ホームでもスタッフ一同でお祝いをさせていただきました。
素敵な夫婦仲はO様のご趣味にも反映され、イベントがあるたびに仲睦まじいお二人の姿や、O様が奥様の写真を撮られる姿が見られました。
しかし昨年12月、奥様は体調を崩されて入院。O様も入院先の病室にご夫婦の写真を飾って過ごされ、再びクラーチで一緒に暮らすことを願っておられましたが、残念ながらその願いは叶わず、ほどなくして奥様はご逝去されました。
O 様は「よく頑張ったよ。ここで暮らせて幸せだったと思う」と奥様を偲び、娘様も「母は皆様にお世話になって幸せだったと思います」と感謝の言葉を述べられていました。
とても素敵なご夫婦で、奥様を失ったO様が心配ではありましたが、O様はその後も穏やかに過ごされています。「もうこの世にいないことはわかっているけれど、これからも変わらずに過ごしていきたい」と話されていました。

3.ご入居者とスタッフの「励み」であり続けてほしい
O様に現在の生活についてお聞きすると、「ただ毎日をそのままに、変わることなく過ごしていきたい。周囲に迷惑をかけないよう、気をつけたい」と話され、買い物や自転車での外出に不安を感じることはあるものの、体力が許す限りで続けていくとのことです。
趣味の写真についても、撮影やGIF動画制作をこれまで通りに続けられています。出先でも花の写真を撮影し、美しい花の写真をスタッフにおすそ分けしてくださいます。
変わらずイベントの撮影や動画制作にも意欲的で、ホームで誕生日会が終わるたび、すぐに GIF 動画の制作に取り掛かられ、翌朝には完成したデータを持って事務所へいらっしゃいます。その行動力と情熱には、スタッフも驚き、尊敬するばかりです。
娘様も、そんなO様の生活に喜んでいるご様子で、「父が好きなことを続けられるのは嬉しく、また安心します」と仰っていました。
O様の生活や過ごし方は、周りのご入居者の力にもなっています。「何歳になっても趣味があるのは羨ましい。99歳で元気なのは楽しみ(カメラ)のおかげかもしれない」「いつも写真を撮っているけど、それを動画にしているのは知らなかった」「自転車で出かけているのは心配だけれど、すごい。100歳まで続けてほしい」など、様々な声が寄せられました。
もうすぐ100歳の誕生日を迎えられるO様がこれからも楽しく好きなことを続けられ、穏やかな生活を送り続けられるよう、そして100歳の節目を共に祝えるよう、クラーチ・ファミリア光が丘公園のスタッフも力を尽くし、O様が自分らしくいられる生活のサポートを続けていきたいと思います。
ライター:加藤 小百合


